2018年冬休み 西穂山荘で年越し

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前回の続き 上高地へ行って来ましたよ
2019年になってだいぶ経ちますが、年越し登山のお話。

山で年越しをするという登山頻度は少ないくせに山バカなことを、毎年ずっと続けているのですが、いつもはホームマウンテン的なくじゅう連山にある法華院温泉山荘で過ごしています。
今年は年末年始の休みが沢山とれたという事と、色々行きたいところに行ってみようというところで、北アルプスで通年営業している西穂山荘へ年越し登山へ行ってきました。


前日に沢渡から新穂高ロープウェイの駅近くにある登山者用の駐車場へ移動してきました。
その時はまだそんなに車はいなかったんですが、朝起きてみるとビックリ!!

もうあふれんばかりの車で埋め尽くされていて、軽自動車ならなんとか隙間に止めれそうな程度しか空いてませんでした。
まだ朝の7時なのにすごいですね。みんな西穂山荘で年越しでしょうか。

そして後ろを振り返ると

どーん!
昨日は真っ白けで何も見えませんでしたが白銀の穂高の山々がそびえ立っています。
上高地でも山が全く見えなかったのでこの景色だけでもう大興奮ですよ!!
九州の冬山にはないこの真っ白な壁のようなスケール感。迫力が違いますね。
登る前からウキウキしてきます。


支度をしたら第一ロープウェイ乗り場に向かいます。
15分間隔だったかな?
増便して最短間隔での運転でした。


観光客と登山者をギュウギュウに詰め込んだゴンドラで鍋平高原駅まで運ばれます。


満員のゴンドラの中は人の熱気と外の外気温の差で窓はあっという間に凍りついて、窓はすりガラス状態。
外の景色なんてほとんど見えなかったですけど、窓の氷を手で落とすと穂高の山々の先には槍ヶ岳!!
数少ない名前を知っていて登ったことある山だったので嬉しかったです。(笑)


鍋平高原駅に到着し、第二ロープウェイのしらかば平駅へ移動します。
標高が上がったけど相変わらず雪はそんなにありませんね。


駅舎内には西穂高口の天候と気温が可愛いイラストでお知らせしてくれます。
絵は可愛いがマイナス13度という強烈な温度が記してあります。
めっちゃ寒いやん!!

日本でも珍しい2階建てのゴンドラ。
上に乗っても下に乗っても景色はおんなじです。

西穂高口駅は4階建て。
とりあえず早く景色が見たいので屋上へ行きます。

でっかい雪のスライムのようなキャラクター「にしほくん」がお出迎え。
後ろには白銀の穂高の山々がバッチリ見えます。

登山をせずに駅舎からこの景色をみれるなんて感動モノですよ。
ちなみにこの日の一番いい景色はここで見た景色でした。


そしていざ駅舎の外へ!!
駅舎をでると観光客は坂の下まで行って雪遊びや行く景色の中記念写真をとったりしています。
登山者は駅舎を出てすぐの広場でみなさんアイゼンをつけたり装備の最終確認などをしてました。

駅舎をでると、これまた九州ではみることのできない雪をかぶった木々と青い空に思わず声が出ます。
本当に美しい景色ですね。

ところどころ看板が出ています。

素敵な景色ばかりでなかなか先に進みません。

やっと登山道へ到着。
ここまでは観光客も来ていますが、ここから先は登山道です。
冬山装備の登山者のみが入ることを許された特別な場所です(笑)


ここからは登山道といってもたくさん人が通っているのでトレースもしっかりあり、ラッセルする必要もありませんでした。
雪で道が消えてしまってもわかるように竹が刺してあるのは雪国ならでは。

登山道に入ってからはじわっとガスが湧いて来て、美しい穂高の山の真っ青な青空も拝むことができなくなり、ひたすらに雪の中を進むのみ。
踏み固められて締まった雪道にアイゼンが食い込むグッグッグという音と自分の息をする音だけが聞こえる気持ちのいい時間を楽しみます。

雪山って人が歩くだけでも絵になりますよね。
今回気づいたのはストックを持っている人がほとんどでした。
普段はストックを使わないのですが、今回はストックがあったほうが歩きやすいだろうなと感じました。
次行くことがあれば持って行こうかな。

お腹すいたな〜と思いだした頃。ロープウェイの駅から1時間半ほどで今回の目的地である西穂山荘へ到着。


大盛況ですね!!
アルプスに来ると毎回思うのですが、やっぱり人が多いですね。特に若い人が多い!!
九州にいるとPEAKSやワンダーフォーゲル山と渓谷などの登山雑誌に書いてあることは本当なのか?
若い人いる?
おしゃれハイカーいる?
山ボーイや山ガールいる?

アルプスには全て実在してました。
若人もおしゃれハイカーも山ボーイ山ガールも全て実在しました。みんなキラキラしてましたよ!!
九州の登山シーンももっと若い人たちが増えてくれるといいんだけどなぁ。

話は逸れましたが、西穂山荘名物のアレありました!

でっかい雪だるま。
今年は雪不足で数日前にやっとこさ完成したようです。
登山者と比べると大きさわかりますよね。3メートルぐらいるんじゃないですかね。どうやって作ったんでしょう。
まさかゴロゴロ転がして作るわけじゃないですよね…


山小屋の中は雪で埋まっているので電気の明かりのみで少し薄暗い感じ。
受付で宿泊者カードの記入などを済ませて、いざ今日の寝床へ。

西穂高岳3という部屋でした。山の名前が部屋に付くのはどの山小屋も同じですね。
さてさて、今日は年末ということでかなりの混雑具合らしいですが、お部屋を見てみましょう。

畳まれた毛布の幅が一人分のスペースですね。
布団2枚につき3人ということだったのでなかなかな混雑ぶり。
夏場の涸沢ヒュッテなんて布団なんて概念もなく寝袋ですし詰めに比べたらだいぶマシな方ですね。

夕食は3回に分けてあり私は1回目の17時から。
まだまだ時間があるので、売店のあるところで物品を物色しつつ、知らないお方のテーブルに混ぜてもらいました。
海外の山に登りに行ったりもしているとてもパワフルなご年配夫婦に、九州から北アルプスに来てまさかの屋久島のお話をお腹いっぱいしてもらいました。
ガイドブックには載っていない秘密のスポットやオススメの宿などを教えていただき、今年の屋久島登山にとっても役に立ちそうです。
ご年配夫婦はテント泊ということなので夕食の時間になると解散しました。
夕食ではグループはグループで集められ、一人は一人の人が集められたテーブルへと案内されます。
おかずと汁物はすでに配膳してあって、ご飯はおひつに入って来て食べたい分だけつぐよくある山小屋のシステムでした。

この日の夕食は大晦日ということで特別メニュー。
・チキン南蛮のような感じの鳥の唐揚げ
・サラダ
・レンコンの煮物
・サーモンのお刺身
・お蕎麦
こんな感じでまさかの山小屋でサーモンのお刺身が食べれるとは思いませんでした。
お蕎麦も大晦日ならではですね。
とても美味しい料理ばかりでご飯ももちろんお代わりしちゃいましたよ。

夕食時にはスタッフによる献立の説明や支配人でもあり気象予報士でもある粟澤さんから今日明日の西穂山荘周辺の詳細でなおかつ、とてもわかりやすい気象情報を教えてくれます。何時頃から雲がわくとか、風はどのくらい吹くなど登山をする上で知りたい情報がまさに的確にアドバイスされます。気象状況が悪い時は翌日のコース変更や中止を警告したりと安全登山にとても尽力されている方です。
この日は長野県の山岳警備隊の方もいらしてたのでお話をされました。風に煽られて滑落した方がいたようですが、いくつもの幸運が重なり、怪我もせず無事に救助されたようです。

夕食後はまだ売店のある食堂へいき色々な方の山のお話を聞かせてもらいました。


山男山女はお酒に強いですね〜。
そしてみんなマグカップで飲むからグビグビ飲んで行きます(笑)
あまり飲めないので僕はそんなに飲みませんでしたが、一升瓶を持って来ている人もいてびっくりですよ。
九州でも時々ビールケースを背負って登っている人見ますけど、ほんとお酒好きな人は好きですねぇ。

酒と鍋物の熱気に包まれた食堂から少し外に出て見ましょう。

雲ひとつない満点の星空。2300mは九州では行くことのできない高さなので、九州の山で見るよりも星の数が多かった気がします。
冬のキーンと冷えた夜空を埋めつく星は寒さも忘れて見入ってしまうほど美しかったです。
しかしここで大失態。
なんと三脚を車に置いて来てしまったんですね。
こんなに綺麗な星空なのに写真に撮れないなんて!!
FUJIFILMのカメラの防滴耐寒性能を信じて雪の中にカメラを突っ込んで無理やり撮りました。
本当はもっとバシッと決まったのを撮りたかったんだけど仕方がない。
雪に突っ込んでも壊れなかったFUJIFILMのX-T2はとても優秀ですよ!!

そんなこんなで2018年も残りわずかとなって来ました。
食堂では年越しイベントがスタートしてました。
仮装したスタッフが場を盛り上げ、西穂山荘では恒例行事だという新旧の干支による世代交代をかけた「叩いてかぶってジャンケンポン」が開幕しました。
来年の干支が負けると西穂山荘は来年も今年の干支で行くそうです 笑
もうスタッフもお客さんんも大盛り上がりで写真を撮ることもできないほどでした。
結局ジャンケンポンも人混みで見えなかったですが3対2でイノシシの勝ちで無事に犬からイノシシへと干支は引き継がれたそうです。

そして盛大なカウントダウンの後2018年が終わり2019年がスタートしました。
新しい年の始まりです。
しかしそこは山小屋。山男山女の朝はとってもは早い。
さっきの盛り上がりが嘘のように、サーっと波が引くかのようにみなさん各部屋に戻り布団の中へ。

法華院温泉の年越しは親戚のうちに集まってるかのような、落ち着いたホッとする雰囲気だけど、西穂山荘は年齢層もスタッフも若いせいか、ノリが体育会系でとても楽しかったです。
山小屋の性格で年越しの雰囲気もこんなに違うんだなぁとびっくりしました。
毎年色々な山小屋で年越しして行くのも楽しいかもと思いましたね。

それでは年明け編へ続きます。